毎月1日は映画の日☆って、皆さんご存知ですよね?
映画の日は誰でも千円ポッキリで映画が一本観られるので、なるべく映画館に足を運ぶようにしています。
2018/12/1は土曜日だったので、子どもたちも学校がお休みで、朝から映画が観られるということで♪
2019/11/30日から公開されたディズニー映画
「くるみ割り人形と秘密の王国」
さっそく観てきました!
くるみ割り人形と言えば、少女がネズミを退治するお話ですが、ネズミ=スター☆であるディズニーがどのようにこの話を料理したのか?気になりますよね。
今回の記事では、
ディズニー版はどう原作のストーリーと違うか?
どこの場面やどの衣装が見どころ?
ディズニー版「くるみ割り人形」は幼児でも飽きずに観られる?
などについてまとめていきたいと思います。
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ディズニー版「くるみ割り人形」を観ようと思ったキッカケ
・最近、劇団四季のCATSを観てバレエに関心を持ったこと。
・テレビで日本のバレエ団の「くるみ割り人形」のバレエを鑑賞したこと。
・以前、ジブリ美術館に行った際、宮崎駿監督が激しく「くるみ割り人形」入れ込んだ展示をしていて、それを見て興味を持ったこと。
以上のような経緯があり、映画を観に行ってみようと決めました。
私も子供もバレエ未経験、子供たちは原作のストーリー予習なしで行ってみました。
さてさて、くるみ割り人形といえばバレエだけど、前知識のない私たちでも楽しめたかというと・・
すみません、ここから少々のネタバレ込みで話を進めます。
ディズニー映画「くるみ割り人形」のあらすじは?
愛する母を亡くし、心を閉ざしたクララがクリスマス・イヴにもらったもの、それは鍵のかかった卵型の入れ物。「あなたに必要なものはすべてこの中にある」———母が遺した言葉の意味を知るために、クララは鍵を探し始める。その晩開かれた名付け親であるドロッセルマイヤーのクリスマス・パーティーで、彼からのプレゼントを受け取る糸をたどるゲームに参加したクララは、いつの間にか不思議な世界へ足を踏み入れていた。
鍵を追ってクララが迷い込んだのは、息を飲むほど美しく幻想的な世界。それは、色とりどりの花と緑で覆われた“花の国”、キャンディやマシュマロでできた“お菓子の国”、雪と氷がクリスタルのように輝く“雪の国”、そして謎の多い“第4の国”からなる誰も知らない<秘密の王国>。プリンセスと呼ばれ戸惑うクララだったが、やがて、この世界を創り上げたのが亡き母であることを知る。だが、マザー・ジンジャーが支配する“第4の国”が反乱を起こし、王国は消滅の危機に瀕していた。
母が愛した王国を救えるのは私しかいない———心優しい“くるみ割り人形”フィリップとともに、“第4の国”へと旅立つクララ。それは、この美しい世界に隠された<真実(メッセージ)>を探す、驚くべき冒険の始まりだった…。
キャスト
- シュガー・プラム:キーラ・ナイトレイ
- クララ:マッケンジー・フォイ
- ホーソーン:エウヘニオ・デルベス
- シヴァー:リチャード・E・グラント
- バレリーナ・プリンセス:ミスティ・コープランド
- マザー・ジンジャー:ヘレン・ミレン
- ドロッセルマイヤー:モーガン・フリーマン
出典:https://www.disney.co.jp/movie/kurumiwari/about.html
以上、公式ホームページより引用させていただきました。
これはディズニーのオリジナルのストーリー。
簡単に言うと、
母を亡くしたクララが、
母の遺品である鍵を探してワンダーランドに入り込み、
母の作った装置により命を吹き込まれた花・雪・お菓子・遊びの国を救うべく闘う。
という話になっています。
・テーマになっているのは母を亡くした家族の絆。
・そして、クララが闘うのはネズミではなく人間。
というところに特徴がある物語だと思います。
このディズニー版のストーリーですが、原作とは全く異なった物語となっているんです。
ですので、こちらの映画を見て「くるみ割り人形」のストーリーを学んでおこうと思っている方は注意が必要です。
ディズニーのアレンジが効いた別物としての鑑賞がオススメです。
では、原作のストーリーはというと?
A.ホフマン原作「くるみ割り人形」(1816年)&バレエの主な構成
ここからは、ジブリ美術館で購入した宮崎駿さんが愛を込めて書いたと思われる「くるみ割り人形」の展示パンフレットをもとに書いていきたいと思います。
宮崎駿さんおすすめの二冊をご紹介。↓
こちらはホフマンの原作本です。
主人公の名前は「マリー」になっています。
バレエを作るにあたって、振付師のプティパさんという方がマリーでは平凡だからクララが良いということで、クララに名前を変えてしまったのだとか。
「クララ」版のオススメ絵本はこちらが紹介されていましたよ。
原作のあらすじについては、とても詳しくわかりやすくかいてあるページがありました。
こちら。
ご興味があれば読んでみてください。
「くるみ割り人形」はもともと、ホフマンさんが友人の娘たちに話して聞かせた童話が元になっています。
その娘たちの中にマリーという子が実際にいたそうです。
原作はこの「マリー」を主人公に物語が展開します。
ざっくりとあらすじをさらうと、
クリスマス・イブの夜、マリーはドロッセルマイヤーおじさんからくるみ割り人形をもらうが、兄のフリッツに壊されてしまう。
マリーは一生懸命看病をする。
その晩ドロッセルマイヤーおじさんが看病しているところに現れ、時計を止めてしまう。
七つの頭を持つネズミの王様が現れ、くるみ割り人形と戦争を始める。
マリーが投げた上履きがネズミの王様に命中、くるみ割り人形を助ける。
ドロッセルマイヤーおじさんが、くるみ割り人形は昔人間だったが、マウスリンクス夫人をふんずけてしまったことから呪いがかけられ、人形になっていると話す。
マリーの前に夜毎ネズミの王様が現れ、お菓子や人形を差し出さなければくるみ割り人形をかじってしまうぞと脅す。
くるみ割り人形から聞こえてくる声に従って、マリーがサーベルを渡すと、くるみ割り人形はネズミの王様を倒してしまった。
恩人であるマリーを人形の国へと案内するくるみ割り人形。
マリーが「醜いからってあなたを蔑んだりしないわ」というと、くるみ割り人形は少年になり、マリーに結婚を申し込んだ。
マリーは人形の国の王妃となり、幸せに暮らした。
バレエでは、
第1部=王子に呪いがかけられ、くるみ割り人形になる。
マリーがシューズを投げつけてネズミの王様からくるみ割り人形を助けると呪いが解け、くるみ割り人形は王子になる。
第2部=マリーはお菓子の国で歓待を受ける。
金平糖の精の踊り。
という感じで、二部に分かれる構成が定番のようです。
こうしてみると、原作本とバレエでも少しずつ内容が変わっています。
しかし、チャイコフスキーの音楽はバレエに合わせて考え出されたものなので、全く異なるストーリーに合わせようとするとなかなか難しいところがあるのではないかと思いました。
とにかく、原作には、
主人公の母の死後、家族が絆を深めるというシーンや、
ネズミとともに人形と闘うシーン
などはありませんのでご注意を。
さらに映画では、
マウスリンクスはネズミの親玉&クララを救う役割を担っているのですが、マウスリンクスは原作では「夫人」となっているので、性別はメスだったのですね。。
個人的感想・・
原作でもバレエでも、ネズミは絶対悪で排除されるべき対象として描かれています。
この映画の後半のどんでん返しで、急に敵が変わってネズミが味方になるというところで、なるほどこれが「ネズミ=崇拝対象」であるディズニーの考えた作り方か、と思いました。
最初の場面の、ネズミを捕まえてどうするの?→芸を仕込むんだ。というセリフでちょっと違和感を覚えたのですが、あれが伏線になっていたのですね。
このお話は元々はイギリスのヴィクトリアン時代のものです。ヨーロッパでは歴史的にネズミの被害の恐ろしさが根付いていて(ペスト流行などもあり)、それが背景にあって出来た物語だと思うので、その設定は個人的には動かして欲しくなかったです。
ミスティ・コープランドのバレエシーン
全くバレエを踊らない主人公と登場人物ばかりの中、唯一バレエを披露してくれるのが、バレリーナ・プリンセスとして登場するミスティ・コープランドです。
「ファンタジア」への敬意も込めてか、オーケストラが影絵になって演奏するシーンが入ります。その演奏に合わせて短いシーンではありますが、アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルである彼女がバレエを披露しています。
お分かりのように、コープランドさんは黒人なんですね。
黒人女性として初めてカンパニーのプリマになった方のようです。
この映画では要所要所で黒人の俳優さんが使われているのですが(アジア系は一人もいなかった)、なぜバレリーナとして重要な役どころを彼女に任せたのか、気になりました。
理由はもちろん、黒人で初めてのプリマとして有名だから、人気があるからということなのでしょうが、色々と調べていると、興味深い情報を見つけました。
実は、アメリカンバレエシアターは最近人気が下降気味だったという事実があり、そこに起死回生の策としてコープランドさんをプリマに据えたのではないかということが囁かれているというのです。
黒人ダンサーということで、目立ちますから、広告塔にというわけです。
コープランドさんのバレエの実力については、バレエ専門のライターさんの間で評価は分かれているという意見もありました。
確かに、彼女のダンスは正確ではありますが、しなやかさや情感が物足りない面もあるのかもしれません。
でも、私はコープランドさんの力強いパワー・バレエを見ていて、不思議と涙が出て来ました。
彼女のバレエの対する純粋な情熱が伝わって来たように感じたからだと思います。
7歳の上の子も、バレエのシーンが良かった、泣けたと言っていました。ラストのお父さんと主人公のシーンは全く響かなかったらしいですが(^^;;
衣装:ヴィクトリアン期のドレスをベースに豪華で見応えあり
画像出典:https://www.crank-in.net/news/60651/1/amp?__twitter_impression=true
今回私が個人的に一番見て良かったなと感じたのが衣装でした。
アンティークやヴィンテージのドレスが大好きなので、ヴィクトリアン調のこれでもかと装飾のついたドレスたちはどれを見ても素敵でした。
一番気に入ったのがこの写真のドレス↑。
一目見て、ゴヤの名画「カルロス4世の家族」のドレスを思い出しました。
こちら。
これはスペインで描かれた絵画なので、ヴィクトリアンのドレスではないけれど、描かれた時期的には近いですね。(1800年ころ)
幼児でも映画「くるみ割り人形」は最後まで楽しめたか?
映画はテレビで見るのと違って、細かいところまで発見があったり、(もし好みに合わなくても)物語に没入できるので、幼児向け&少しでも興味が持てそうなものは積極的に連れて行くようにしています。
今回のくるみ割り人形は、最初のクララとお父さんとの葛藤シーンを通り越して仕舞えば、幼児でも問題なく世界観に入っていけると感じました。
大人には少し物足りなさを感じるストーリーでも、子どもたちは想像を膨らませながら楽しく観たようです。
金平糖の精=アメリカではシュガー・プラムの精
なのですね。
ジョニーデップ失速の今、キーラナイトレイ扮するシュガープラムが華やかさ担当と道化役を買って出ている印象でした。
可愛いシュガープラムに子どもたちも興味シンシンでしたよ。
まとめ:オリジナルストーリーという点に注意して完全な娯楽として観るならアリの作品。
とにかく私としては、子どもたちに、このディズニー版のストーリー=くるみ割り人形の本来のお話なんだと理解されることは避けたいと感じました。
なので、お子さんには映画観賞の前後に是非、原作の絵本を読んで差し上げてください。
アメリカの色、ディズニーの色の濃い作品だと感じました。
最近のディズニー映画にはプリンセスが必須で、しかもそのプリンセスは自立していなければならず、勇ましく戦わなくてはならない・・。
世論を横目で気にしながらの映画製作は大変でしょうが、原作のイメージを壊さない程度の粋なアレンジを期待したいところです。
ディズニー次回作は我が家の子どもたちも大好きなメリーポピンズの続編が公開を控えています。その次にはダンボも実写化される予定のようです。
子どもたちに本物を見せたいと願ったウォルト・ディズニーの遺志が受け継がれた映画づくりが行われていくことを願って。