去年から引き続き、桂宮治さんの子ども落語会に行ってきました。
今日は、宮治さんの落語の概要を以下に記しつつ、
落語で幼児から大人まで抱腹絶倒にする秘訣をご紹介していきたいと思います!
桂宮治さんとは
落語会で3人の子持ちとは聞いていましたが、ちょっと調べてみたら壮絶な過去が。

↑夫からの言い分と妻の話とが若干違っていて面白いです(笑)
とにかく、桂宮治さんの簡単なプロフィールはというと、
小中 登校拒否児
両親の離婚を機に学校に行くようになる
高校卒業したら舞台俳優になると決める
演出家のもとで俳優修行
化粧品会社の営業に就職し成績ナンバー1になる(年収一千万超)
寄席に行ったこともなかったのにYouTubeで枝雀師匠の落語を観て急に落語家になると決める
結婚、会社を辞める
寄席を全部見た後、桂伸治師匠に弟子入り志願
落語家はやめた方がいいと師匠から説得を受けるも、奥さんも賛成し弟子入り(月収3万)
子どもが生まれる
落語もできて気の利くスーパー前座として認められる
短期間で二ツ目昇進、NHKの賞受賞や笑点にも出演
今や人気落語家としてご活躍されている宮治さんですが、過去には様々なご苦労があったんですねえ。(特に奥様)
宮治さん曰く、
落語でのパントマイムのような動きは舞台俳優の修行で身についたもの、
人の心を掴んで話を聞かせる技は営業のセールストークで身についたものだとか。
さらにお子さんも3人いらっしゃることもあって、子どもの心を掴む話し方も心得ていらっしゃいます。
今回の落語会でも、子どもたちが好き勝手にヤジを飛ばしてきたり、歩き回ったりして落ち着きがない場面もありましたが、流石にそこは元一流セールスマンの桂宮治さん。
お話が始まった途端、うるさく騒いでいた子供達もピタッと静かになっていましたよ。
子ども落語会の流れ
太鼓の紹介
まずは前回も「掴み」として話されていた太鼓のお話から。
落語や歌舞伎の始まる時、終わる時に太鼓が叩かれることは皆さんご存知ですよね。
あの太鼓、ちゃんと名前があるんです。
そして、太鼓の音1つ1つにも意味があります。
始まる時は「一番太鼓」。
空っぽの客席を表す音→いっぱいお客さん入ってね!「どんとこい」の音→「入」の文字をバチで作る。
終わる時は「追い出し太鼓」。
終わりましたよ、「出てけ」の音→「てんでんばらばら」に帰ってねの音→空っぽの劇場の戸を閉めて鍵をかける音でシメ。
面白いですよね。
流石、「スーパー前座」を勤め上げていただけあって、太鼓の叩き方が上手かったです。
もう前回聞いた話でしたが、忘れているところもあり、何度聞いても面白くて引き込まれました。
着物、手ぬぐい、扇子の紹介
宮治さんは毎回、子どもたちに本物の着物を見せるために紋の付いた正式な着物を着て来てくれます。
男性の着物姿って最近は本当に珍しくなりましたから、こうやってどこにいくつ紋があるかなど説明してくれるとありがたいです。
それから、これも前回出ていましたが、扇子を使って蕎麦を食べるシーン。やっぱり何度見ても感心してしまいますよね。
落語といえば、蕎麦を食べるパントマイムが思い浮かびますよね。
でも、「時そば」などはなかなか小さい子にはわかりづらいので、こうして蕎麦を食べるところだけをやってくださるのは貴重です!
小噺の紹介
1つの言葉に2つの意味があるから面白く感じる、通称「オヤジギャグ」である小噺を次から次へと話してくださいました。
「運動してくるね。」「うん、どうじょー。」
中学生の「転失気」という落語をはさんで、いよいよ宮治さんによる本物の落語が始まりました。長いけど、最後まで聴けるかな!?
ちなみに、「転失気」のあらすじは・・
引用元:http://www.geikyo.com/lite/beginner/repertoire_detail_ta.html#tenshiki
落語「動物園の虎」
あらすじ
開園時間になり、多くの観客が虎の檻にやって来た。空腹だった男は、子供客の持っているパンほしさに思わず「パンくれ」とつぶやいてしまう。それを聞いた子供にパンを投げ込んでもらうが、四つんばいの姿勢なのでうまく食べることができない。仕方なく手でつかむが、とうとう子供に不審がられた。男はうなり声をあげて子供を泣かせ、なんとかごまかした。
空腹が極まり、タバコも吸えず、難渋する男。そんな中、動物園のアナウンスが「虎とライオンの猛獣ショー」の開催を告げた。男は事前に説明を受けなかったので、慌てふためいた。虎の檻の中にライオンが放たれて、男はパニックに陥った。ライオンはうなり声を上げながら男の耳元に近づいて、「心配するな、わしも1万円で雇われたんや」。
引用元:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/動物園_(落語)
これ、あまりにも現代的な話で、てっきり宮治さんの創作落語だと思ったのですが、
明治時代に上方落語家の桂文之助が仕立てた落語らしいです。
怠惰な男が、移動動物園に虎の役として雇われる話。
荒唐無稽なお話なんだけど、宮治さんが演ると目の前にありありと映像が浮かぶのが面白かったです。
7歳の子はツボに入っちゃったらしく、宮治さんが何を言っても大笑い。
5歳の子は真剣に想像しながら聞いていたようです。
宮治さんの落語を聴いてみて
ちょうど1時間くらいという長さも、
小さい教室内で真近に落語を見られたことも、
小さい子どもには良かったのではないかと思います。
我が家は他の子ども落語会にも参加したことがあるのですが、そちらは広いホールで古典落語を普通に演るというものでした。
落語の前後には、射的や福笑いなど昔の遊びができるという特典もあったのですが、やはり広いホールで小さく見える落語家さんを観ながら集中して聴くというのは幼児にはハードルが高かったです。
昔遊びなど無くても、話すことだけでこんなに子どもを夢中にさせることができるなんて、桂宮治さんにしか出来ないワザなんじゃないでしょうかね。
今回も本当に脱帽でした。次回は落語ワークショップにも是非参加したいなあと思います。